この体験談はIOL2022代表の石井さんが書いてくれました.
執筆2022年
国際大会体験談
2022年の代表です。高3時に国際大会に参加しました。
言語学オリンピックの存在はJOL2020の申込最終日に知り、気付いたらその日に衝動的に申し込んでいました。その後どういうわけかハマってしまい、JOL・APLOともに3年連続出ていました。国際大会は今回が初めてでした。
(1)JOL
特に対策はしませんでした。前年よりも難易度が上がっていて少し焦りましたが、無事APLOに進出できたので安心しました。
(2)APLO
大会1週間前に過去問に目を通しておきましたが、解ける自信はあまりなく、当日の出来は自分のコンディションと天の神様に委ねることにしました。予想以上に良い結果が出たので嬉しかったです。
(3)練習会
APLOの結果が公開される数日前に、運営の方から「代表になる心当たりのある人は4/24になるべく予定を空けておいてください」という趣旨の怪しいメールが送られてきました。実際は代表の8人だけに送っていたらしいです。しかしそんなことは知らないので、代表になれているか、そしてこのメールは何だ、という二重の恐怖に苛まれていました。
代表決定後は1か月に1~2回の頻度で合同練習会がありました。個人戦の問題を解いて他の人と解答を見比べたり、団体戦の問題を解いたりしていました。
また、7月初めにはアジア合同練習会がありました。言語学の講義を聞いたり、グループごとに言語学関連のテーマを設定して発表をしたりと、楽しい1週間でした。同じグループだった香港代表の人とはIOLで宿泊部屋が同じで、ウクライナ代表の人とも現地で実際に会ってたくさんおしゃべりしました。マン島に行く前に知り合いができたので良かったです。
(4)IOL
7/21 成田から経由地スリランカへ
生身の代表たちと初めて会いました。IPAのTシャツを着ている強者がいて感動しました。
スリランカの空港では仏像が出迎えてくれました。「聖なる仏像に背を向けて写真を撮らないでください」という注意書きもあり、仏教国らしさを感じることができました。
7/22 ロンドン到着
成田からロンドンまでの計20時間程度のフライト中に、持ってきた本4冊中2冊を読破してしまいました。
飛行機を降りてから友達に映画を観るように勧められていたことを思い出しましたが、結局帰りの飛行機でも本を読んでいたので、映画を観ることはありませんでした。友達ごめん。
7/23 ロンドン観光
大英博物館やビッグベンなど、有名どころを観光しました。ロゼッタストーンの迫力を鮮明に覚えています。他にもヒエログリフや楔形文字を間近で見ることができて興奮していました。
7/24 ロンドン観光、マン島へ移動
ロンドン橋などを見てバラマーケットで昼食をとった後空港へ向かいました。
空港でウクライナ代表の人たちに遭遇したので一緒に写真を撮りました。
マン島到着後、ちょっとしたハプニングがあったものの、無事空港近くのホテルに到着することができました。今年は宿泊場所が数か所に分かれていて、日本代表が泊まったのは香港・アメリカ・UAE代表と、Juryの人たちと同じ場所でした。
7/25 開会式など
午前中にKing William’s Collegeでレジストレーションがあり、午後にダグラスの劇場で開会式がありました。レジストレーションと開会式の間に時間があったので、参加者全員からサインをもらうことを目標に、メモ帳と煎り大豆を携えて他国の代表とおしゃべりしにいきました。参加者の中には、数か国語を自在に操るマルチリンガルや、他の科学オリンピックで入賞を果たした経歴の持ち主もいて、周りの人の多才さに圧倒されるばかりでした。ちなみに大豆を食べた人の反応は様々で、中にはとても微妙な顔をして「健康そうな食材だね!」と言っている人もいました。他の日本代表が配っていた抹茶味のKitKatは大好評でした。開会式後は学校に戻り、カードゲームをしたり、大豆を配ったり、サインを集めたりしていました。
7/26 個人戦
10時から16時まで個人戦がありました。あっという間の楽しい6時間でした。しかし、他の人と話しているうちに、徐々に自分の解答に自信がなくなっていきました。夕食後にはコンサートという名に身を扮したダンスパーティーがありました。演奏していたのはマン島の伝統的な音楽だったみたいです。個人戦で意気消沈した直後だったので、ダンスの輪に加わることはできませんでした。一方、他の国の人たちは皆テンションが高く、会場はエネルギーに満ち溢れていました。
7/27 えんそく
ピールのビーチで遊んだり、お城を見に行ったりしました。涼しくて海に入るような気候ではなかったので、ポーランドやウクライナ、UAEなどの代表と、1人1つずつ言語を挙げていくゲームをしました。みんな色々な言語を知っていて凄かったです。途中で砂浜に打ち上げられたクラゲの死骸を2つ見つけて、そのうち1つは誤って踏んでしまいました。少し弾力があってあまり気持ちの良い感触ではありませんでした。
7/28 団体戦
10時過ぎから14時過ぎまでの約4時間、団体戦がありました。データの量が多く、4人で協力しても全然解き終わりませんでした。楽しかったことに変わりはありません。同じチームの4人は運命共同体なので、1人で絶望することはないと考えると少し気が楽でした。
団体戦後はルーシェン城を見学しました。トイレのような場所に座っている蝋人形がいて驚きました。
その後ダグラスへ移動し、夕食・クイズ大会・ダンスパーティーがありました。ダンスは好きなほうではありませんが、今回は記念に踊っておきました。
7/29 表彰式など
今年の日本代表は好成績で、個人戦では金2つ、銅1つ、Honorable Mention 3つ、最優秀解答賞1つ、団体戦では銀銅1つずつという結果になりました。団体戦でメダルを取るのは初めてのことなので、2つのチームが同時に受賞できてとても嬉しかったです。個人戦の結果も意外と良かったので心残りはありません。
その後フェアウェルパーティーとカラオケがありました。他国の代表と話せる最後のチャンスだと思い、サイン集めと大豆配りに奔走していました。結局全員からサインをもらうことも、全員に大豆を食べてもらうこともできませんでしたが、各国代表のうち最低1人とはおしゃべりできたので良かったです。
日本語を勉強している参加者数人と話すこともできました。外国語として日本語を勉強している人から日本語の面白さを聞くのはとても新鮮な体験でした。日本語ネイティヴスピーカーに出会えて嬉しいのか、みんなたくさん質問してきてくれました。どれも自分が満足のいくほどには説明しきれませんでしたが、知的な刺激が受けられて楽しかったです。もう少し意識して日本語を使おうと思いました。
7/30 マン島出発
楽しかった1週間が早くも終わってしまい、マン島を出発する時になりました。朝早く香港代表の人たちと空港へ向かい、マンチェスター行きの便に乗りました。
その後PCR検査を受け、結果を待ってからバスでロンドンへ移動しました。
7/31~8/2 帰国
最後に少しロンドンを観光した後、帰国の途につきました。
帰って来てからは疲れていて数日間何も手につきませんでした。とりあえず1日12時間以上寝ていました。
ちなみに帰国後1週間たって体験記を書いている今でも、まだ余韻が抜けていません。それくらい楽しい大会でした。
(5)最後に
IOLは様々な国から言語に興味のある高校生が集う文字通りの楽園で、マン島では日々充実した時を過ごすことができました。ここで得た経験や人脈は今後の人生の糧になると思います。そして、他の日本代表のメンバーと、チームリーダーをはじめとする運営の方々には、ここ数か月間本当にお世話になりました。楽しい時間をありがとうございました!