この体験談はIOL2019代表の高橋さんが書いてくれました.
執筆2020年 更新2021年
国際大会体験談
こんにちは,2019年度代表です.私は高校2年の3月にJOLに参加し,高校3年の夏にIOLに参加しました.私が出場したヨンイン大会のようすを紹介します.
今年度とは大きく異なる部分があると思いますがご了承ください.
国際大会の準備
2019年度の選抜は3月末に行われていたJOL一段階のみでした.
JOLの結果が出てからの4か月ほどの間にいろいろなことをしました.
1. 練習会&説明会
公式の練習会は東京外国語大学で月に一度,計4回でした.IOLの1~2ヶ月前の練習会では保護者・生徒向けの説明会も一緒に行いました.
そのほかにも,1~2週間に1度くらい非公式の練習会を開催していただきました.
練習会では,IOLや各国の大会の問題を解きながら代表経験者の方々からIOLの問題を解くうえで役に立つ知識やテクニックを教えていただきました.
この練習会でかなり力が付きました.今年度も同じような形で練習会ができるかはわかりませんが,できるかぎりのサポートがあればと思います.
2. APLO
2019年度のAPLOは5月に開催されました.この年のAPLOは二次選抜ではなく,JOLで選ばれた代表8人が参加しました. 食糧も持ち込み可と聞いていたので大量に持ち込みましたが結局そんなに食べられませんでした.
APLOではJOLとは異なり「見つけた仕組みをできるだけ記述すること」が求められますが,これは上記の練習会で初めて練習しました.何を書けばいいのかわからずかなり困った記憶があります.
2020年度はAPLOが3月に開催される予定だったので2月と3月に1回ずつAPLO対策のワークショップが行われました.
APLO 2019の問題はこちらから.
3. 自習
練習会の他にも自分で問題を解いていました.6月くらいからはひたすらIOLの問題を解いていましたが,難しかったのでそれ以前はイギリスや北米などの地域予選を解いていました.
できるだけ試行錯誤し,ひとつひとつの問題を消化できるようにしていました.
国際大会
IOL2019の動画があります.大会がどういう雰囲気なのか伝わると思います.
大会期間中には競技だけではなく選手同士の交流のためのイベントや観光のための日なども用意されていました.
また,IOL2019現地報告には大会期間中のスケジュールやきれいな写真が載っています.一緒にご覧ください.
1日目. 渡航
開会式は7月29日でしたが,その前日に韓国へ渡航しました.
午前中の飛行機に乗ってお昼くらいに着きました.着いた後は空港近くのショッピングモール(大きい)でちょっと買い物をしたりしました.人も風景も日本とほとんど変わらないのに看板の文字や使われている言語だけが違うというのがとても不思議な感覚でした.
会場はヨンインにある韓国外国語大学グローバルキャンパスで,みんなそこの寮に宿泊しました.部屋は二人部屋で,日本以外の代表と相部屋になっているひともいました.けっこうきれいな部屋で安心でした.
大学は思っていたよりもかなり自然の豊かなところにありました.敷地もかなり広く,今思うとけっこう羨ましいです.
これは敷地内にあった真理・平和・創造です.
ご飯は大学の食堂で作ってもらったものを食べました.本当に金属の箸を使っていて感動しました.
時間のある時には日本以外の代表とお話しすることもありました.韓国代表の方と英語,日本語,あとちょっとだけ勉強していた韓国語を混ぜながらお話ししたのが楽しかったです.
2日目. 開会式
午後から開会式がありました.時間になってもあんまり人が集まっておらずカルチャーショックを感じました.
それ以外の時間は部屋でゆったりしたり,近所を散歩してスーパーに行ったりしました.
あと韓国文化の体験会みたいなのがあり,私はユンノリというゲームをしたり琴のような楽器(名前を忘れてしまった)を演奏したりしました.楽しかったです.
夜は寮内にあったちょっとしたスペースに集まって言語トークをしたり個人戦前最後の練習をしたりしました.楽しかった…….
3日目. 個人戦
10時くらいから個人戦が始まりました.6時間はかなり長く,心が折れそうになりながらもなんとかできるところまでやったと思ったのですが,あとから見返してみると簡単な見落としがたくさんありました.本番で全力を出すことの難しさを感じました.
ここでもたくさんご飯をもちこんだんですが結局ほとんど食べられませんでした.あと部屋がめちゃくちゃ寒かったです.
この年の私のお気に入りの問題は5番のノニ語です.
2019年の問題はこちらから.
個人戦の問題5問,団体戦問題1問と参考資料,それぞれの解答が載っています.
4日目. 観光
この日は一日観光しました.ハングル博物館や景福宮に行きました.ハングル博物館ではそのあとは明洞へ行って買い物をしたりしました.
これはお土産の訓民正音.
夕食はIOLで貸し切ったレストランで食べました.ケーキを無限に食べていました.
5日目. 団体戦
午前中から3時間の団体戦で,代表8人がチームニンジャ・チームサムライの2チームに分かれ,各チーム内で協力しながら問題を解きました.個人戦とは段違いの量のデータが与えられ,いかに協力してデータを分析するかが問われます.
2019年は「新体操の演技の記録・点数のつけ方」という変わった問題で,かなり苦戦してしまいました.
団体戦の後はクイズ大会などがありました.
6日目. 閉会式
表彰式・閉会式がありました.日本代表は個人戦で金賞1人,銅賞2人,努力賞1人と好成績でした.
そのあとは一発芸大会みたいなの(IOL’s Got Talentという名前だったらしい) があったりお別れ会みたいなの(Farewell Party)があったりしました.
7日目. 帰国
朝大学を出て,飛行機の時間までソウル観光をしました.本屋で韓国の教科書を見たり日本語の教材を見たりするのが面白かったです.夕方の飛行機で帰国しました.もっと韓国語力を磨いてまた韓国に行きたいです.
このあと3か月くらいは名残惜しくてずっと財布にウォン紙幣が入っていました.
さいごに
私にとって言語学オリンピックは,世界中から集まった同年代の人たちと一緒に一週間海外で過ごすという稀有な経験のできる貴重な機会となりました.JOLやIOLの対策をしていた数か月間も,様々な言語の現象に触れたり,自分の成長を感じたりすることができるとても楽しい期間でした.
ひとりでも多くのかたに言語学オリンピックに触れ,言語・言語学の面白さを感じていただけたらうれしいです.そして,みなさんがJOLを突破し,今度はオフラインの試験場でみなさんにお会いできるのを楽しみにしています!